看護師の中には、養護教諭の資格を取得して教育現場の仕事を選ぶ人もいます。
公立学校に勤める常勤の養護教諭は、病棟看護師より平均年収が多いうえ、夜勤がなくて肉体的負担が小さいからです。
看護師免許があれば、一般的な養護教諭資格取得ルートである教員養成系より、養護教諭の資格を短期間で取れる方法があることから、転職しやすいと言えるでしょう。
看護師資格を持った養護教諭は、校内唯一の医療従事者として、衛生指導や健康管理の面で活躍できます。
ただし、養護教諭は教員の1人であり、他の教科の教員と平等な立場になるので、看護師免許があるからといって、特に発言権が強まる訳ではありません。
また、医師や看護師などの医療従事者のみに認められる医療行為を、学校で自由に施せる訳ではないのです。
医療行為とは、手術など観血式の侵襲行為のほか注射や採血といった治療に必要で医療技術を要する行為を指します。
看護師は、医師の個別具体的指示がないと、原則として医療行為に携わることができません。
医師のいない学校では、看護師資格があるからといって、緊急措置などの例外を除き、独自の判断で医療行為を生徒たちに施せないのです。
看護師資格がない養護教諭と同様に、業務の範囲は、血圧や体温の測定といったバイタルチェックをはじめ、軟膏塗布や点眼から耳垢除去や心理カウンセリングに至るまでの医療行為に該当しない行為に限定されます。
ただし、従来は医療行為とされていた経管栄養やカニューレを用いた喀痰吸引などは、研修を受けた教員にも認められるようになったので、養護教諭も行えます。